犬や猫の認知症とは?その症状と治療方法について

飼育環境の改善や獣医療の進歩のおかげで長寿になってきたペット達。一緒に過ごせる時間が長くなって嬉しい半面、認知症に悩まされるケースも目立ってきています。言葉を話さないため、人間に比べて発症が分かりにくいペット達の認知症にどう向き合うべきなのでしょうか。

認知症って、どんな病気?

認知症とは脳内の神経細胞の働きが衰えることによって起こる症状で、脳の病気が原因でない限りは、加齢とともにゆっくりと徐々に進行するために、飼い主さんにとって把握しにくいのが現状です。

年をとっていると分かっていても「自分の可愛いペットが認知症になるなんて」と考える飼い主さんも多く、それも発見の遅れにつながっているようです。

カルフォルニア大学の研究によれば11歳から16歳の老犬の約60%以上に何らかの認知症症状が表れているとのことです。猫の場合、犬より少ないようではありますが、やはり発症例はあるようです。

こんな症状が出たら気をつけて

それでは、ペットにどんな症状が出たら認知症を疑えば良いのでしょうか。初期段階でよく見られるものは、名前を呼んでも反応が鈍い、一点を見つめてぼーっとしている、動きが鈍くなって寝てばかりいるなどの症状でしょう。

さらに病状が悪化してくると、夜鳴きをする、トイレ以外のところで排泄する、散歩に行った先で迷子になる、家の中でモノにぶつかったり、出口を間違えたりするなどの行動の変化が目立ってきます。

もちろん、こうした症状の原因が認知症以外の病気にある可能性もありますので、素人判断は危険です。「ちょっとオカシイ」と思ったら動物病院に行って相談してみることが大切です。

認知症と診断されたら、どうすればいいの?

動物病院で認知症と診断された場合、どのような治療法があるのでしょうか。

実は人間も同様ですが、認知症を完治させる画期的な治療はまだ発見されていません。しかしながら、薬物やサプリメントなどによって症状の進行を遅らせ、家の中の環境の工夫により年老いたペットが快適、安全に過ごせるようにすることが可能ですので、動物病院で相談してできることから取り入れてみましょう。

あなたのペットがまだ軽い認知症なら、日頃から名前を呼んであげる、なでてあげるなどして刺激を与えてあげましょう。足腰が丈夫で散歩ができるようなら、いつもと違うルートを歩いてみたり、新しい遊具で一緒に遊んであげたりするのも良いでしょう。

症状が進んでしまったら、症状に合わせて対処方法も変えてあげる必要があります。例えば、排泄がうまくいかないペットなら寝ている場所にペットシートを敷いてあげたり、トイレを近くに置いてあげたりすると良いかもしれません。

家の中をウロウロ歩いてモノにぶつかりがちなら、柵を丸く輪にしてつなげて専用スペースを作り、ぶつかっても痛くないように内側にクッションなどを当ててあげても良いでしょう。

寝たきりになってしまったら、床ずれを防ぐために頻繁に体の向きを変えてあげたり、ドーナツ枕を胸と腰の下に敷いて床面に当たる部分を少なくしてあげたりすると少しは楽に過ごすことができます。

また、最近では認知症のペット向けのサプリメントやペットフードも売られています。DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸には血液をさらさらにしたり、運動能力を高めたりする働きがありますが、認知症を抑制する働きもあると言われています。動物病院で相談のうえ、サプリメントを試してみても良いでしょう。

一番大切なのは飼い主さんの心構え

年老いたペットの世話は決して楽なことではありません。手間も時間も掛かりますし、ペットが大型犬であれば、体を動かしたり、向きを変えたりするだけでも重労働です。

そんな中で一番大切なのは、共に月日を過ごしたペットに少しでも楽しく、安らかな余生を過ごしてほしいと願う気持ち。感謝の気持ちで世話してあげれば、きっとペットも喜んでくれるはずです。