猫の血小板減少症~原因・症状と対策

血小板減少症は、血小板が激減して血が止まりにくくなる病気。血小板は骨髄で造られ、出血した箇所があると集合して止血を行う役割があります。血小板が少なくなると、ちょっとした衝撃でも内出血が起き、青タンのようなものがたくさん体にできるようになります。

猫が血小板減少症になる原因やメカニズム、症状、対策をご紹介します。

原因

血小板は骨髄で造られたあと、血液中を2~7日間循環します。通常は造られる量と除去される量は等しく増減はありませんが、何らかの理由で、血小板が過剰に破壊されたり、消費されたりして減少に転じることがあります。

数値で見ると、猫の場合、血液中に20~70万/μl含まれている血小板が5万/μl以下に減ります。そうなると止血ができなくなり、体の中で出血が起き始めます。

詳しい原因は以下の通りです。なお、発症はオスよりメスに多い傾向があります。

血小板の過剰な破壊

本来、体内に侵入したウイルスや細菌、異物を攻撃するはずの免疫が異常を起こし、誤って血小板を攻撃することで数が激減します。「免疫介在性血小板減少症」と呼ばれ、発症の原因によって2種類に分けられます。

  • 二次性…他の病気、腫瘍、ワクチン接種などが原因となって起こる
  • 特発性…血小板減少症の症状が起きているが、原因不明

血小板の過剰な消費

血液が凝固して多臓器が障害されるDIC(播種性血管内凝固症候群)や、血栓症、大量の出血などで血小板が消費されることで数が激減します。

とりわけDICは緊急性の高い状態です。DICは、感染症や寄生虫症、悪性腫瘍、急性膵炎などの疾患や、出血、熱中症、中毒、感電などの事故によって引き起こされます。疾患や事故によって体がダメージを受け、血管が損傷すると、血小板が活性化して血管のあちこちで血液が固まり始めます(血栓)。すると血栓のせいで全身に血が行き渡らないため多臓器が障害され、さらに血小板が不足することで最終的に血が止まらなくなります。

骨髄での産生低下

猫免疫不全ウイルス(猫エイズウイルス)、猫白血病ウイルス、パルボウイルスなどへの感染や、骨髄の疾患、骨髄内の腫瘍などが原因で、骨髄における血小板の産生が低下してしまいます。

その他、メチマゾールなどの薬剤投与も血小板減少の原因の一つだと考えられています。

症状

初期はほとんど無症状です。症状が進むと、血小板が減少することで血が止まりにくくなり、ちょっとした衝撃が加わるだけで、体に青タンのような内出血(紫斑)や点状の出血ができます。紫斑や点状出血は、おなかや耳の内側によくできます。一見元気や食欲に異常がなくても、この内出血が見られるころにはかなり血小板は減っています。

さらに症状が進むと、元気消失、以前よりぼんやりとしたり、よく眠ったりするようになる、口腔内の粘膜からの出血などが起きます。また、眼出血、鼻血、血便・血尿、吐血のほか、貧血が起きやすくなるため、粘膜が白っぽくなります。

対策

血小板の減少を引き起こした原因が判明していれば、その治療を行います。

免疫介在性血小板減少症の場合は、副腎皮質ホルモン剤などの免疫抑制剤を、DICには血を固まらなくさせる作用のあるヘパリンを使用します。原因が分からない場合は、出血するリスクを可能な限り減らし、抗生物質の投与、脾臓の摘出など、内科的・外科的処置を用いて対症療法を実施します。

いずれの場合も、ひどい貧血の症状が出ていたり、出血が多かったりする場合、輸血をして血小板を補う必要があります。なお、血小板減少症の治療は長期間にわたり、再発することの多い病気です。

室内飼育・非室内飼育、それぞれのケースで注意したいこと

家と外とを行き来する猫の場合、血小板減少症の原因の一つである、猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスへの感染が心配です。また、交通事故による出血も発症の引き金になります。交通事故はもちろん、ウイルスは他の猫から感染することが多いため、猫を室内飼育にすれば結果的に血小板減少症のリスクを減らせます。

また、室内飼育の猫でも、熱中症や感電、中毒などの事故が血小板の減少につながることもありますので、飼い主は注意が必要です。

その他の原因は予防しにくいので、猫の体に青タンのようなものができたり、点々とした出血を見つけたりしたら、すぐに動物病院で診察を受けてください。

毎日のコミュニケーションで病気を早期発見

血小板減少症は、血小板が危険な数値まで減らないと症状が現れない厄介な病気です。しかも、紫斑や点状出血以外になかなか分かりやすい症状が出ないため、毎日猫と遊んだり、ブラッシングをしたりして、おなかや耳の内側に出血の痕がないかチェックしてください。血小板減少症は早期発見・早期治療が大切な病気です。